意味は、曾子が言った、「私は、毎日何度も我が身について反省する。人の相談相手になるとき、真心を尽くさなかったのではないか。友人と交際するのに誠実ではなかったのではないか。習ったことをよくおさらいもしないことを受け売りで人に教えたのではないかと。」
三は、三度ということではなく、「常に」とか「しばしば」という意味。
ただし、問題は、「三」の字ではなく「省」の字にある。「省」の字を「省みる(かえりみる)」と読んだだけでは不十分で、今一つの「省く(はぶく)」という意味がある。この文章の中でこの字を「かえりみる・はぶく」と読むと煩わしいので「せい」と音で読む。
この「省」の字を深く味わってみると、かえりみてはぶくことの最も根元的なものは自己そのものである。私たち人間は、生存していく中で、様々なことを無意識のうちに、意識して身につけていく。その中にはプラス面と共にマイナス面も身についていく。
身体の健康を維持するには、様々な贅肉や不健康要因を省いていかなければならない。自律神経やホルモンのバランスが崩れたときには、バランスを崩す要因を省いて正常な状態に戻していく作用が働く。
これは、人格、道徳についても言える。私たちの精神や意欲の中には、怠惰や横着なものが無意識下、意識下で付いてくる。一方、それらに抑制をかけたり是正したりする良心というものがありそれで調和を保っている。
それが「三省」というものである。「三」と「省」をあわせて「さんせいす」と読む。
省くという行動を反復していくことにより徐々に正しい思考・行動に集約していくことになる。
植物を育てていく時、雑草が生えてくる。雑草をそのままにしておくと植物は、きれいに立派に育たない。
私たち人間も、普段の行動、姿勢、考え方を見直し(三省)、悪い習慣を省き、よい行動、姿勢、考えを磨いていくことが大切である。
私たち自身のみならず、様々な制度や環境や社会活動、企業・組織活動についても同様に言える。
国際社会共通の目標である「SDGs(エスディージーズ)」も、ある意味これまでの開発行動を見直して持続可能な国際社を築いていく行動といえるであろう。
それには、私たち自身を省み、社会の様々な分野を省みるという考えが根底にある。
「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標である。
17のゴール・169のターゲットから構成されています。地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。SDGsは、発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むべきユニバーサルなものである。
ちなみに、17のゴールは、下記のとおりである。
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも、経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任、つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
歴史の重みに耐えた古典には、現代に活きる教えがある。