グローバル社会を生きる~古教心を照らす、心古教を照らす~論語002

皆さんこんにちは!

 当シリーズは、グローバル社会にどう生きるかを、歴史の重みに耐えて今なおその普遍性を有する古典を紐解くことにより得ていく。

古典は、洋の東西あるが、まずは「論語」をシリーズとして取り上げ、今日は、その第2回である。

論語學而第一の四に、次の章句がある。

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この箇所の素読音声は、下記を再生してお聴き下さい。

意味は、曾子が言った、「私は、毎日何度も我が身について反省する。人の相談相手になるとき、真心を尽くさなかったのではないか。友人と交際するのに誠実ではなかったのではないか。習ったことをよくおさらいもしないことを受け売りで人に教えたのではないかと。」

三は、三度ということではなく、「常に」とか「しばしば」という意味。

ただし、問題は、「三」の字ではなく「省」の字にある。「省」の字を「省みる(かえりみる)」と読んだだけでは不十分で、今一つの「省く(はぶく)」という意味がある。この文章の中でこの字を「かえりみる・はぶく」と読むと煩わしいので「せい」と音で読む。

この「省」の字を深く味わってみると、かえりみてはぶくことの最も根元的なものは自己そのものである。私たち人間は、生存していく中で、様々なことを無意識のうちに、意識して身につけていく。その中にはプラス面と共にマイナス面も身についていく。

身体の健康を維持するには、様々な贅肉や不健康要因を省いていかなければならない。自律神経やホルモンのバランスが崩れたときには、バランスを崩す要因を省いて正常な状態に戻していく作用が働く。

これは、人格、道徳についても言える。私たちの精神や意欲の中には、怠惰や横着なものが無意識下、意識下で付いてくる。一方、それらに抑制をかけたり是正したりする良心というものがありそれで調和を保っている。

それが「三省」というものである。「三」と「省」をあわせて「さんせいす」と読む。

省くという行動を反復していくことにより徐々に正しい思考・行動に集約していくことになる。

植物を育てていく時、雑草が生えてくる。雑草をそのままにしておくと植物は、きれいに立派に育たない。

私たち人間も、普段の行動、姿勢、考え方を見直し(三省)、悪い習慣を省き、よい行動、姿勢、考えを磨いていくことが大切である。

私たち自身のみならず、様々な制度や環境や社会活動、企業・組織活動についても同様に言える。

国際社会共通の目標である「SDGs(エスディージーズ)」も、ある意味これまでの開発行動を見直して持続可能な国際社を築いていく行動といえるであろう。

それには、私たち自身を省み、社会の様々な分野を省みるという考えが根底にある。

「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標である。

17のゴール・169のターゲットから構成されています。地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。SDGsは、発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むべきユニバーサルなものである。

ちなみに、17のゴールは、下記のとおりである。

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも、経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任、つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

歴史の重みに耐えた古典には、現代に活きる教えがある。

連載続く

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投稿者プロフィール

市村 修一
市村 修一
【略 歴】
茨城県生まれ。
明治大学政治経済学部卒業。日米欧の企業、主に外資系企業でCFO、代表取締役社長を経験し、経営全般、経営戦略策定、人事、組織開発に深く関わる。その経験を活かし、激動の時代に卓越した人財の育成、組織開発の必要性が急務と痛感し独立。「挑戦・創造・変革」をキーワードに、日本企業、外資系企業と、幅広く人財・組織開発コンサルタントとして、特に、上級管理職育成、経営戦略策定、組織開発などの分野で研修、コンサルティング、講演活動等で活躍を経て、世界の人々のこころの支援を多言語多文化で行うグローバルスタートアップとして事業展開を目指す決意をする。

【背景】
2005年11月、 約10年連れ添った最愛の妻をがんで5年間の闘病の後亡くす。
翌年、伴侶との死別自助グループ「Good Grief Network」を共同設立。個別・グループ・グリーフカウンセリングを行う。映像を使用した自助カウンセリングを取り入れる。大きな成果を残し、それぞれの死別体験者は、新たな人生を歩み出す。
長年実践研究を妻とともにしてきた「いきるとは?」「人間学」「メンタルレジリエンス」「メンタルヘルス」「グリーフケア」をさらに学際的に実践研究を推し進め、多数の素晴らしい成果が生まれてきた。私自身がグローバルビジネスの世界で様々な体験をする中で思いを強くした社会課題解決の人生を賭ける決意をする。

株式会社レジクスレイ(Resixley Incorporated)を設立、創業者兼CEO
事業成長アクセラレーター
広島県公立大学法人叡啓大学キャリアメンター

【専門領域】
・レジリエンス(精神的回復力) ・グリーフケア ・異文化理解 ・グローバル人財育成 
・東洋哲学・思想(人間学、経営哲学、経営戦略) ・組織文化・風土改革  ・人材・組織開発、キャリア開発
・イノベーション・グローバル・エコシステム形成支援

【主な論文/プレス発表】
「仕事と脳力開発-挫折また挫折そして希望へ-」(城野経済研究所)
「英語教育と脳力開発-受験直前一ヶ月前の戦略・戦術」(城野経済研究所)
「国際派就職ガイド」(三修社)
「セミナーニュース(私立幼稚園を支援する)」(日本経営教育研究所)

【主な研修実績】
・グローバルビジネスコミュニケーションスキルアップ ・リーダーシップ ・コーチング
・ファシリテーション ・ディベート ・プレゼンテーション ・問題解決
・グローバルキャリアモデル構築と実践 ・キャリア・デザインセミナー
・創造性開発 ・情報収集分析 ・プロジェクトマネジメント研修他
※上記、いずれもファシリテーション型ワークショップを基本に実施

【主なコンサルティング実績】
年次経営計画の作成。コスト削減計画作成・実施。適正在庫水準のコントロール・指導を遂行。人事総務部門では、インセンティブプログラムの開発・実施、人事評価システムの考案。リストラクチャリングの実施。サプライチェーン部門では、そのプロセス及びコスト構造の改善。ERPの導入に際しては、プロジェクトリーダーを務め、導入期限内にその導入。組織全般の企業風土・文化の改革を行う。

【主な講演実績】
産業構造変革時代に求められる人材
外資系企業で働くということ
外資系企業へのアプローチ
異文化理解力
経営の志
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など