メラビアンの法則の誤用

皆さんこんにちは!

The more I learn, the more I realize I don’t know. The more I realize I don’t know, the more I want to learn.
学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるか思い知らされる。自分の無知に気づけば気づくほど、より一層学びたくなる。
Albert Einstein(アルベルト・アインシュタイン、ドイツ生まれの理論物理学者)

今日は、よく引用され世間に流布されている事柄を題材に取り上げて、情報を確認することの大切さ、情報リテラシーとでも言うことについて述べてみたい。

次のようなことを、見聞きしたことはあるのではないだろうか。

「米国の心理学者メラビアンの実験によれば、人が話をする時、相手に伝わるのは55%が表情や仕草、服装等の見た目。38%が声の調子、意味内容言葉はたったの7% です。93%は言葉以外が伝わるのですから、言葉自体より、それをどう伝えるかに注意しましょうね。」

メラビアンの法則について、よく第一印象の重要性で引用されることが多いが、彼の研究結果より誇張されて一人歩きしている嫌いがある。

彼の研究結果は、限定された環境/状況の下であり、どの様な環境/状況下でも当てはまるとは言っていない。

彼の研究結果の「好意の合計=言語による好意 7% + 声による好意 38% + 表情による好意 55%」というものは、好意/反感などの態度や感情のコミュニケーションを扱う研究から生まれたものである。

話し手が好意や反感について語っていないときには、この等式は当てはまらないと言っている。

内容が一人歩きをし、この法則から「見た目が一番重要」、あるいは「話の内容よりも喋り方のテクニックが重要」という結論・解釈がされ世間に流布されている。就職活動の面接対策セミナー、営業セミナーや話し方講座などでこの解釈がよく用いられている。

しかし、この実験は前述したとおりであり、単に事実のみを伝えたり要望をしたりするコミュニケーションの場合には触れておらず、コミュニケーション全般においてこの法則が適用されると言うような解釈はメラビアン本人が提唱したものとは異なるものである。

プレゼンテーション研修、就職・面接対策セミナーなどでパワーポイントを使って、「7・38・55」の大きさに3分割した円グラフなどを表示して「メラビアンの法則」によればと説明する講師や講座は要注意である。

例えば、プレゼンテーションや面接の場面で話す中身が7%しか伝わらないというプレゼンテーションや面接は大失敗である。

出典にあたるなどして必ず情報の正しさ、どのような背景で情報が発せられたのかなどを確認することは、極めて重要なことである。

“Silent Messages” — A Wealth of Information About Nonverbal Communication (Body Language)

Mehrabian, A. (1981). Silent messages: Implicit communication of emotions and attitudes. Belmont, CA: Wadsworth (currently distributed by Albert Mehrabian, am@kaaj.com)

My findings on communication and body language, as well as those of many other investigators, are organized and summarized in very readable form in “Silent Messages.” The book deals with all facets of nonverbal communication, including body positions and movements, facial expressions, voice quality and intonation during speech, volume and speed of speech, subtle variations in wording of sentences that reveal hidden meanings in what is said, combinations of messages from different sources (e.g., face, tone of voice, words), and general descriptions of individual communication styles or mannerisms.

Most of the findings summarized in “Silent Messages” can be used to enhance one’s awareness of the many subtle aspects of interpersonal communication, and to improve one’s communication skills. Leadership and management trainers can make very effective use of this book in a variety of training seminars on improving communication skills, leadership, or effectiveness of working groups.

Here are only a few examples of the numerous important aspects of communication described in “Silent Messages:”

  1. During persuasion — what are the important nonverbal messages for effective persuasion of others, for example, in a supervisory role or in sales?
  2. Deceitful behavior — how can one detect that another is being deceitful or not overly forthcoming?
  3. Individual communication styles — how do we describe a person’s general communication style and what are the basic elements of a person’s style? How can one identify problem elements in one’s own nonverbal communication and improve one’s communication effectiveness?
  4. Analyses of the way in which sentences are worded. For example, what differences in attitudes are implied when someone says: “I like those people” instead of, “I like these people?”
  5. Inconsistent communications — the relative importance of verbal and nonverbal messages. My findings on this topic have received considerable attention in the literature and in the popular media. “Silent Messages” contains a detailed discussion of my findings on inconsistent messages of feelings and attitudes (and the relative importance of words vs. nonverbal cues) on pages 75 to 80.

Total Liking = 7% Verbal Liking + 38% Vocal Liking + 55% Facial Liking

Please note that this and other equations regarding relative importance of verbal and nonverbal messages were derived from experiments dealing with communications of feelings and attitudes (i.e., like-dislike). Unless a communicator is talking about their feelings or attitudes, these equations are not applicable . Also see references 286 and 305 in Silent Messages — these are the original sources of my findings.

Source: http://kaaj.com/psych/smorder.html

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投稿者プロフィール

市村 修一
市村 修一
【略 歴】
茨城県生まれ。
明治大学政治経済学部卒業。日米欧の企業、主に外資系企業でCFO、代表取締役社長を経験し、経営全般、経営戦略策定、人事、組織開発に深く関わる。その経験を活かし、激動の時代に卓越した人財の育成、組織開発の必要性が急務と痛感し独立。「挑戦・創造・変革」をキーワードに、日本企業、外資系企業と、幅広く人財・組織開発コンサルタントとして、特に、上級管理職育成、経営戦略策定、組織開発などの分野で研修、コンサルティング、講演活動等で活躍を経て、世界の人々のこころの支援を多言語多文化で行うグローバルスタートアップとして事業展開を目指す決意をする。

【背景】
2005年11月、 約10年連れ添った最愛の妻をがんで5年間の闘病の後亡くす。
翌年、伴侶との死別自助グループ「Good Grief Network」を共同設立。個別・グループ・グリーフカウンセリングを行う。映像を使用した自助カウンセリングを取り入れる。大きな成果を残し、それぞれの死別体験者は、新たな人生を歩み出す。
長年実践研究を妻とともにしてきた「いきるとは?」「人間学」「メンタルレジリエンス」「メンタルヘルス」「グリーフケア」をさらに学際的に実践研究を推し進め、多数の素晴らしい成果が生まれてきた。私自身がグローバルビジネスの世界で様々な体験をする中で思いを強くした社会課題解決の人生を賭ける決意をする。

株式会社レジクスレイ(Resixley Incorporated)を設立、創業者兼CEO
事業成長アクセラレーター
広島県公立大学法人叡啓大学キャリアメンター

【専門領域】
・レジリエンス(精神的回復力) ・グリーフケア ・異文化理解 ・グローバル人財育成 
・東洋哲学・思想(人間学、経営哲学、経営戦略) ・組織文化・風土改革  ・人材・組織開発、キャリア開発
・イノベーション・グローバル・エコシステム形成支援

【主な論文/プレス発表】
「仕事と脳力開発-挫折また挫折そして希望へ-」(城野経済研究所)
「英語教育と脳力開発-受験直前一ヶ月前の戦略・戦術」(城野経済研究所)
「国際派就職ガイド」(三修社)
「セミナーニュース(私立幼稚園を支援する)」(日本経営教育研究所)

【主な研修実績】
・グローバルビジネスコミュニケーションスキルアップ ・リーダーシップ ・コーチング
・ファシリテーション ・ディベート ・プレゼンテーション ・問題解決
・グローバルキャリアモデル構築と実践 ・キャリア・デザインセミナー
・創造性開発 ・情報収集分析 ・プロジェクトマネジメント研修他
※上記、いずれもファシリテーション型ワークショップを基本に実施

【主なコンサルティング実績】
年次経営計画の作成。コスト削減計画作成・実施。適正在庫水準のコントロール・指導を遂行。人事総務部門では、インセンティブプログラムの開発・実施、人事評価システムの考案。リストラクチャリングの実施。サプライチェーン部門では、そのプロセス及びコスト構造の改善。ERPの導入に際しては、プロジェクトリーダーを務め、導入期限内にその導入。組織全般の企業風土・文化の改革を行う。

【主な講演実績】
産業構造変革時代に求められる人材
外資系企業で働くということ
外資系企業へのアプローチ
異文化理解力
経営の志
商いは感動だ!
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古典に学ぶ経営
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論語と人生
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素読のすすめ
経営の突破口は儒学にあり
実践行動学として儒学に学ぶ!~今ここに美しく生きるために~
何のためにいきるのか~一人の女性の死を見つめて~
縁により縁に生きる
縁に生かされて~人は生きているのではなく生かされているのだ!~
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など